編集長経験者が考える「こんなライターの売り込みなら聞きたい」

オピニオン
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「そちらのメディアでライターは募集してますか?」「ライターをやっている者ですが、原稿を見てもらいたいのでお送りする先を教えてください」──。

メディアの編集部にいると、メールや電話などいろいろな手段でライターからの売り込みがあります。売り込むというほどでなくても、そのメディアでライター・寄稿を募集しているかどうかという質問は本当に多いです。

申し訳ないけど検討するまでもないというケースもありますが、ごくまれに「この人は話を聞きたい」ということがあります。それはどんなケースなのでしょうか。

まず「ライター募集していますか?」と質問だけされても困る

まず「ライターを募集しているかどうか」だけの質問は困ります。正社員としての求人をしていない場合でも、ライターさんなら契約して1本いくらで書いてもらえばいいわけです。すべての編集者の本音は「いいライターさんならいつでも欲しい」です。「ライターが多すぎて困る」ということはありません。

ポートフォリオをWebにアップしてURLを書き添えてある

こういう質問メールにはたいてい原稿が付いていないのも問題です。どんな原稿を書かれるのか分からない方を相手に対しては、答えは慎重になります。募集していると言ってしまってから原稿を見せられると、ちゃんと採否を出す必要が生じます。採用ならともかく、箸にも棒にもかからないようなものだったら、いちいち断るのも気が重くなります。

しかし、添付ファイルをいきなり送るのは難しい場合や、マナーとしてどうかと思うという人もいるでしょう。

だからポートフォリオをWebで展開して、そのURLを添えてメールを送るといいと思います。それによって、どんな原稿を書いてきたのか分かります。少なくとも、どんな原稿を書く人なのか知らないと、検討の俎上にすら載せられません。

なぜウチのメディアで書きたいのかが伝わってくる・納得感がある

ライター応募のメールには、コピペ文面が結構あります。あちこちに送りまくっていることが一目瞭然です。そういうメールを読んで「この人に是非書いてもらいたい」と思えることはなかったように思います。

少なくとも、応募するライターの立場から考えて「なぜ、おたくのメディアに書きたいのか」「自分ならどんな記事が書けるのか」「自分としてはどんな記事が書きたいのか」「なぜおたくのメディアでないといけないのか」ということを、論理的に、できれば感情的にも、伝わる文面のメールにしてもらいたいところです。

感情的なだけではダメです。「仕事が欲しいんだろうけど、なんでウチのメディアなのか分からない」と思われてしまうからです。

メディアのAboutや最近の記事は最低限読んでいるできればSNSや過去の記事にも目を通している

当然、応募するメディアについて研究しているのが前提です。サイトの「About」「●●(メディア名)とは」というページを見る。編集長や編集者、他のライターさんのプロフィールを見る。最近の記事を読んでいる。これらは当然です。

できれば、編集者やメディア公式のSNSに目を通しておいてほしいし、最近の記事だけではなく過去の(おそらくは筆者や編集者が力を入れたであろう)記事も読んでおいて欲しい。さらに願わくば、記事ごとの感想だけではなく、特集やテーマの選び方に対する感想も話せるとよいと思います。

ただし「読んでますよアピール」は要りません。読んでいて当然なので。

企画は諸刃の剣。無難は変化球。直球を投げるなら絶対的な自信のあるジャンルを

「私ならこんな企画をやりたい」というアイデアは、あるとよいでしょうが、諸刃の剣だと思います。というのも、編集者はそのメディアで企画を考えるのが仕事なので、相当考え抜いています。だから、ちょっと付け焼き刃で企画を考えても、「過去にとっくに考えている」ものになりがちです。

そこで、「いや、もうその企画は過去にやったわ」となったりしたら最悪です。精読していないのがバレます。

もし企画を考えるなら、異なるカラーのものにする(変化球を投げる)といいのではないでしょうか。変化球と言っても、奇をてらうのはよくないので、「うまい外し方」が求められますから、決して簡単ではありません。「そことつなげたか!」という新鮮な驚きを覚えてもらう作戦です。

もしくは、自分が絶対的な自信を持っているジャンルで、応募するメディアでまだ取り上げられていないものなら望ましいと思います。特に、何かつよいジャンルやテーマを持っているライターさんなら、応募するメディアに同じジャンルやテーマの記事がなかったり、そのジャンルのライターさんが執筆陣にいなかったりすれば、チャンスはあります。

ただ企画で気をつけないといけないのは、応募ライターの企画をパクる編集者もいるようだということです(まぁアイデアをちょっとメールに書いただけでパクられるも何も、と思われるかもしれませんが)。

すべてはタイミング 出してみないと分からない

これらの条件をクリアしていたら必ず検討してもらえるわけではないですし、逆にこれらの条件を全然満たしていなくても採用されるかもしれません。

身も蓋もなくなりますが、要はタイミングです。

たとえば「ガジェットに強いライターさんいないかな」「写真が撮れるライターさんが欲しいな」「政治のネタをやれと言われたから、ツテがあるライターさんと知り合いたい」など、編集者のニーズというものがあるので、それに合致すれば、「ぜひ会いたい」ということになるからです。

そして、採否の判断は(判断をすることすら)おうおうにして編集者・編集長の気分に委ねられます。会社への求人応募、ライター応募への対応フローがしっかり決まっている会社・メディアもるところもあるでしょうが、それにしたって「そのライターさんと実際に会ってみるかどうか・話を聞いてみるかどうか」は編集者に委ねられるでしょう。

そうした状況を考えると、たとえ採用されなくても別にチカラがなかったからではなく、たまたま合わなかっただけというケースが多いと思います。

残念なことに、そのライターの良さや活かし方に、受けた編集者が気づけないということだって十分あります。(こればかりは編集者としてはどうしようもないですが)編集者がチカラ不足ということは珍しくありません(悲しいかな、ライターに仕事を発注する側の編集者で、ライターより自分がエラいと勘違いしている人も少なくないです)。

メールや見せる記事のチョイスをアレンジして積極的に応募してみては?

まとめると、しっかりとメディアを読み、編集者の発信にも触れ、どの記事を見せるかを考え、メール文面をていねいに書くことしかありません。

公式に募集していなくても、仕事が回ってくる可能性はあります。繰り返しになりますが、すべての編集者の本音は「いいライターさんならいつでも欲しい」です。たとえ、すすぐには採用や発注をされなくても、コミュニケーションが取れるようになれば、「その時」がくるかもしれません。

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