編集者ドラマがウケてもWeb編集者ドラマがウケないと思う訳

オーマイボス オピニオン
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Newsポストセブンで「“編集者ドラマ”が増加する理由「リモートじゃできないことを描ける」という記事を読んだ。

たしかにここ数年、まさに編集者が主役の『重版出来!』(2016年)や『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021年)などのほかにも、編集者が登場するドラマは結構ある。なぜ編集者が注目されているのだろうか。

編集者が登場した最近のドラマとウケる理由

記事によると、ほかにも『プリティが多すぎる』(2018年)、『カラフラブル ジェンダーレス男子に愛されています。』『レンアイ漫画家』『リコカツ』『理想の男』『半径5メートル』などがあるそうだ。編集者が登場するドラマが放送されている。

記事では、ウケる理由として「古典的であること」と「編集部を舞台にすることでいろんなキャラが出せる」という点を挙げている。

「古典的である」というのは、前時代的ということ。編集業界は、雑誌ならいい誌面をつくるためには理不尽なことがまかりとおる世界。上下関係・徒弟制度が残った古い体質で、だからこそドラマはうみやすいのかもしれない(葛藤とか成長とか美談にもできるし)。

いろんな登場人物がいるというのもたしかにそう。編集者にもヒラがいてデスクがいて編集長がいて、ライター・作家、カメラ、デザイナー、校正、校閲……いろんな人が制作にかかわっている。それに取材先としていろんな人も出せる。

そういう理由を聞けば、雑誌編集部を経験した身としても納得なのだが、ここで疑問に思ったのは「はたしてWebメディアの編集部はウケるのだろうか」ということだ。

Webメディア編集者はウケないのでは……

結論からいえば、身もふたもないが「ドラマの作り方による」わけで、ドラマの作り手からすれば(ヒットするかどうかはともかく)「ドラマにはできるし面白くはなる」はずなのかもしれないが、それでは雑誌編集部との対比にならない。ここでは、ドラマではウケなさそうなWebメディアのリアルを考えてみたい。

理由1 こたつ記事がまかり通っている

まずWebメディアが雑誌の編集部と違う点は、「取材なしでも作っちゃう」ところだろう。たとえばテレビを観て、「ワイドナショーを見てまっちゃんがこう言ってた」で記事はできる。インスタを見て、「韓国のグラビアYouTuberがセクシーな写真をアップした」って書けてしまう。いわゆる”こたつ記事”というやつで、取材や当事者にあたらずに記事は作れてしまうのだ(そしてそれがPVを稼いで評価されたりする)。

理由2 リモートでできてしまう

これは理由1ともつながっているが、取材が要らない以上リモートでほとんど仕事はできてしまう。となると画はつくりにくいだろう。「雑誌編集部に憧れている書籍編集者が廊下で同期とすれ違って……」ということが起こらないし、作家やライターと喫茶店でお茶を飲みながら打合せをする、という画できない。

理由3 がんばりどころがSEO

Webメディアにも競合のメディアがあるものだが、雑誌のようなライバル関係・対立関係はそれほどない。それに、ある程度のPVやUUをとれるメディアになってくると、むしろ研究するのはGoogleであり、SmartNewsなどのプラットフォーム(アプリ)になってくる。いかに順位をあげるか、そこで目立つか、というところを腐心することになるので、SEOという非常に地味な作業に注力することになる。そもそも他のメディアを仮想敵にしたところで、データなどを分析するしかなく、「早刷りのコピーをとっちゃう」みたいな画はつくれないだろう。

Webメディア編集の仕事はそれでも面白い

「これではドラマにはならないだろうな」という観点でんなWebメディア編集部の特徴を考えてみたので、すべての編集部がそうというわけではない。それに、上に書いたような特徴はありつつも、Webメディア編集の仕事は楽しいし、やりがいは感じられる。

いろいろ考えていたらWebメディア編集者のドラマを作ってみたくなった。

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