雑誌付録や付録本の企画・プロデュース……「それ、編集の仕事ですか?」とか言ってたらダメ

付録本 オピニオン
Google検索結果より「付録本」

雑誌の付録が豪華になったということはもうかなり前から言われていますが、最近は定期刊行の雑誌に限らずムック本に付録がついている「付録本」も人気です。「これが本といえるのか?」とか「それが編集者の仕事か?」という意見もありそうなので、そのあたり考えてみたいと思います。

付録といえば宝島社

これを考えるきっかけになったのは、宝島の付録本の編集者のインタビュー記事です。

宝島社「付録本」ヒットの秘訣とは? 編集者に訊く、流通網を生かした販売戦略

これには人気文具をテーマにした付録本の編集者と宝島社の広報が出ています。過去に同社がとりあげられた東洋経済の記事(2013年)もリンクで紹介されています(その記事の筆者が佐々木紀彦さんです)。この記事で広報の担当者は「創業時から我々はコンテンツメーカーである」というスタンスであること、雑誌『sweet』『smart』に付録が付き始めて、2004年からすべての雑誌に戦略的に毎号つけてきたことなど紹介しています。

疑問1 付録がメイン。それは本・雑誌か?

この記事の冒頭でも触れましたが、雑誌にせよ付録本にせよ、「これは本(雑誌)なのか?」という疑問はあるでしょう。書店に、書籍・雑誌売場にありますが、付録がメインで本(雑誌)部分はほとんどない、というものは結構あります。

これはお菓子でも同じ現象があります。人気アニメ・漫画のフィギュアやカードなどにガムやラムネが申し訳程度について菓子売り場に置いてある。さらにいうと、アイドルのCDもそうかもしれません。ついている握手会の応募券やランダム封入のトレカが目当てという購買者は少なくないはずです。

そうした状況を「おかしい」という意見もあるでしょうが、この点について筆者は、ルールをちゃんと守っているのであれば問題ないと思います。なぜいけないのか、と。

むしろ「本・雑誌でなくてもいいのではないか」とすら思います。つまり「読者(消費者)が欲しいものを届けられている(売れている)ならいい」という考えです。

疑問2 編集者の仕事か?

この疑問ももっともでしょう。編集者の仕事を、取材して記事を書いて写真を付けて記事というコンテンツをつくる(つくらせる)と考えれば、ブランドアイテムの企画や交渉などは編集者の仕事ではないかもしれません。

しかし、これも編集者の仕事の定義によるでしょう。編集は「集めて編む」と書きますし、アウトプットがテキストである必要だってないとは考えられないでしょうか。

編集者の中には、そうした仕事をしたくない人もいるでしょう。しかし、一方で、何かを生み出したい、何かをつくりだす触媒になりたい、という編集者もいるでしょう。要は考え方ひとつです。「編集者はこうあらなければならない」と囚われる必要なんてないし、嫌なら辞めればいいだけのことです。

人気ブランドの付録つければいいから簡単?

筆者は時々付録めあてて雑誌を買いますし、付録本も主にバッグがついたものについてはよく書店で吟味します(あまり買いませんが)。そうした経験から考えると、たとえ好きなブランドのものでもアイテムがチャチだったりすると満足できません。人気ブランドのアイテムであっても、いい付録・売れる付録とそうでないものもあります。

いかにコストを抑えながら、読者もブランド側も納得するクオリティのものを作って付けるかは、編集者(責任者)の手腕にかかっているでしょう。これは簡単な仕事ではないと思います。

「●●は■■でなければならない」という固定観念は要らない

私自身は付録本や雑誌付録の企画をやりたいとは思いません。しかし、編集者がそうした仕事をすることを否定的にも思いません。

むしろ「自分は編集者である」と位置付けている、クリエイティブで進取の気性の人がやるからこそ、いいものができるのではないでしょうか。

「編集者はライターに記事を書かせて記事(本・雑誌)をつくるのが仕事だ」という考えは間違いではありませんし、そうした考え・人生をまっとうするのもうるわしいと思います。

しかし、「編集者はこんなことをやっちゃいけない」と決めつけて、何か新しいものを生み出せる機会を見過ごす手はないと思います。その意味で「それ、編集者がやること?」とか言ってたらもったいないと思います。

タイトルとURLをコピーしました