なぜか編集者の舌禍が相次ぐ 差別的投稿、転売容認……徳間、KADOKAWA、ホビージャパン

オピニオン

なぜか最近、「編集者」の舌禍が目立っているように感じます。以前からあったことなのでしょうが、ここにきて会社から処分を受けるほどの事案が相次いでいます。

事案1 大坂選手に差別的投稿 徳間書店の業務委託

この件は、徳間書店運営のサイト「&GP」の編集を担当していた業務委託の編集者が、大阪選手が五輪で敗退後、差別的な投稿をしたというものです。徳間書店は契約を解除したと言います。

『&GP』業務委託編集者のSNSの発言につきまして(徳間書店)

なぜそんなことをしてしまったのだろうかと、いくつかのニュースを読みましたが、この編集者は以前からそうした類の投稿をしていた常習犯のようでした。

この手の契約打ち切り・解除事案が起きた時に気になるのは、契約書にある解除事由のどれにあたるのだろうかということ。というのも、「契約解除は不当だ」と訴えられるリスクがあるわけですから。

なお徳間書店が契約解除したのはしごく真っ当だと思います。

事案2 ホビー誌編集者が「転売」容認発言で退職処分

次に挙げるのは、ホビー誌『月刊ホビージャパン』の編集者が転売や買い占め行為を容認するようなツイートをしていたというものです。

当社編集者のSNS等における発言につきまして(ホビージャパン)

ホビージャパンはその社員を退職処分とし、『月刊ホビージャパン編集部』編集長と副編集長を降格処分、あわせせて常務取締役編集制作局長も降格処分としたそうです。

弊社社員のSNS等での不適切発言に関する社内処分につきまして(ホビージャパン)

この編集者は匿名でツイートしていたそうですが、名前に表示していたHJがホビージャパンの略語ということもあって判明したのでしょう。この点、プライベートかつ匿名でしていた発言ですが、会社のイメージを毀損したわけですから、解雇されてもいたしかないでしょう。

たしかに実態としては転売は広く行われていますし、違法行為ではありません。供給が需要に比して少なければ価格が上がるのは当然ですし、編集者の言い分もわからなくはありません。ただ自分が所属する業界のことについて、一従業員の立場で言ってしまうのは、たとえそれが匿名であっても浅はかとしか言いようがないと思います。

転売の問題は難しい

転売の問題は非常に難しいと思います。これまでに何度も人気ミュージシャンたちがライブチケットの高額転売について反対の意思表明をしていますが、高額かどうかの判断は難しいですし、そもそも転売できないような仕組みを提供すればいいだけの話とも言えます。最近では、スマホなどをつかった本人確認を徹底させることで、そもそも行く気がない人が買いたいと思わないような仕組みも生まれています。行けなくなった人のチケットは主催者側に一旦払い戻せるなどの仕組みを作ればいいのではないでしょうか。

新しい仕組みを作ることや、払い戻しを受け得るリスクを避けておきながら、モラル違反だと情に訴えることについては、いささか疑問に感じます。

事案3 KADOKAWA夏野社長がABEMAでいろいろ問題発言

これは編集者ではありませんが、KADOKAWAの夏野剛社長が、「ABEMA Prime」でいくつか問題発言をしたというものです。

夏野剛社長の発言は「大変不適切」 KADOKAWAが見解、役員報酬の自主返上も発表(J-CAST)

まず、緊急事態宣言下での東京五輪の開催をめぐり不公平感が問題視されていることに関し、「そんなクソなピアノの発表会なんてどうでもいいでしょう、五輪と比べれば」などと発言したそうです。

さらに、「過激さが物議!少年誌に水着グラビアは必要?元アイドル&現役グラドルと議論」という特集では、グラビアより過激な漫画があり、Googleなどの審査にも通らないとして、公共の場でどこまでが問題ないのか「ネット時代にふさわしい基準を作り直さないといけない」と話したといいます。

前者はリップサービスが過ぎたのかも(もしかしたら、言った瞬間に「しまった」と思ったかも)しれませんが、後者は相当ヤバいのではないでしょうか。

KADOKAWAといえば今や書籍や雑誌に限らずあらゆるコンテンツをつくっている大企業です。そのトップが、GoogleやAppleの審査を通らないからという理由で規制を見直そうと言っているわけです。

役員報酬を一部返上したとのことですが、事案1と2の編集者が職を失ったのに比べると、報酬がちょっと入ってこないだけで済んでよかったですね、という感じです。

心配なのは会社側がルールを厳しくしすぎないかということ

こうした舌禍が相次いで思うのは、編集者の(SNSを含む)健全な発言がしにくい事態につながらなければいいなということです。

ソーシャルメディアの使用方法についてはルールやガイドラインをどこも設けているでしょう。それに、特に事案1などはそうした会社のルール以前の問題ではあります。

ただこうした事態の中で、会社がリスクを避けるために一切のSNSでの発言を(実質的に)禁じるといったことが起こるのではないかと心配しています。

出版社などで、クリエイティブとはどういうものかが分かっている人が上層部にいるような、歴史のあるところはともかく、たとえばクリエイティブマインドのない(低い)経営者が率いるスタートアップのウェブメディア編集部で働いている編集者には、もしかしたら受難の時代が来るかもしれませんね。

(あ、KADOKAWAは歴史ある出版社グループだった)

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