紀伊国屋書店が2021年の出版社売上300位までを発表しました。集英社が2年連続で首位のほか、トップ10の顔ぶれはほぼ同じ。実に1位から9位までは前年とまったく同じで、10位になった日経BPマーケティングは日本経済新聞出版と経営統合して10ランクアップしました。
1位は集英社 『呪術廻戦』などジャンプコミックが牽引か
上位30社まではこのようになっています。
集英社は2019年が2位でしたが、20、21年と首位。販売金額は33億7287万9791円でした。ただ前年比は83.5%と2割弱減らしても首位を守りました。
このあたりはやはりジャンプコミックスの強さでしょう。というのも、別に発表されている2021年1月~12月期の「紀伊國屋書店ベストセラー大賞」で、出版社部門は集英社、著者部門は『呪術廻戦』の芥見下々氏が選ばれていることからもそれが分かります。
ほかにも鬼滅もTVアニメ2期がありコミックスなどまだ売れているのでしょうし、ジャンプ+には『SPY FAMILY』もありますし、首位は納得です。
なお2位の講談社は前年比115.1%と大きく伸ばして32億2320万1844円と首位に肉薄しています。
30位までに入ったそのほかの出版社も、大きく順位が変わったところはほとんどありません。河出書房新社の6ランクダウン(16位→22位)、光文社の5ランクダウン(22位→27位)、ダイヤモンド社の4ランクダウン(10位→14位)が目立つ程度でした。
順位 | 出版社 |
---|---|
1 | 集英社 |
2 | 講談社 |
3 | KADOKAWA |
4 | 小学館 |
5 | 学研プラス |
6 | 宝島社 |
7 | 新潮社 |
8 | 医学書院 |
9 | 文藝春秋 |
10 | 日経BPマーケティング |
11 | NHK出版 |
12 | 有斐閣 |
13 | 朝日新聞出版 |
14 | ダイヤモンド社 |
15 | 幻冬舎 |
16 | 高橋書店 |
17 | スクウェア・エニックス |
18 | 旺文社 |
19 | 岩波書店 |
20 | 南江堂 |
21 | 中央公論新社 |
22 | 河出書房新社 |
23 | ポプラ社 |
24 | TAC |
25 | 医歯薬出版 |
26 | SBクリエイティブ |
27 | 光文社 |
28 | 技術評論社 |
29 | マガジンハウス |
30 | インプレス |
以下、100位までのランキングを確認すると、最も大きく下がったのは日本関税協会が26ランクダウン(46位→72位)、幸福の科学出版が14ランクダウン(57位→71位)、東京化学同人の11ランクダウン(76位→87位)、ワニブックスとJTBパブリッシングの11ランクダウン(それぞれ48位→59位、59位→70位)などでした。
逆に大きくランクアップしたのは、飛鳥新社の37ランクアップ(134位→97位)、パイ インタ-ナショナルの21ランクアップ(113位→92位)、デアゴスティーニジャパンと一迅社の16ランクアップ(それぞれ55位→39位、68位→52位)などでした。
なおちょうど100位だったのは実業之日本社で、1億339万6517円で、前年比97.5%でした。
「出版はオワコン」ではない
少し前まで出版不況の深刻化が盛んに叫ばれていましたが、それはあくまで雑誌の休刊をはじめとした古い時代の出版ビジネスのこと。最近では電子コミック、雑誌の読み放題サービス対応など、デジタル化にしっかり対応し、さらには持っているIPをつかったライツビジネスに乗り出したところは、息を吹きかえしているようでもあります。
実際、学情がまとめた新卒就職人気ランキングではトップ10に講談社、集英社、KADOKAWAが入っています。
「出版はオワコン」という認識は古いものになっているようです。