大手広告代理店の架空発注事件に考える、編集者の「代理店」との付き合い方

いらすとや,撮影 オピニオン
いらすとや

読売新聞が博報堂DYメディアパートナーズの元社員による詐欺事件を報じています。編集者も広告代理店との付き合いはあるため、気をつけなければいけません。

博報堂DY社・詐欺事件の概要

まず事件の概要を読売の記事から確認してみます。

テレビCMの制作業務の一部を架空発注し、発注元の自社から現金をだまし取ったとして、警視庁は16日、広告大手「博報堂DYメディアパートナーズ」(東京都港区)の43歳の元社員の男(大田区)を詐欺容疑で逮捕した。警視庁は男が2016年5月以降、同様の手口で数十回の架空発注を繰り返し、計約7億円を詐取したとみて調べている。
捜査関係者によると、男は博報堂DYメディア社に勤務していた18年11月、取引先の広告会社代表(37)(渋谷区)ら男3人と共謀。大手上場企業のテレビCMを外部の広告会社に発注した際に、男らが勤務する別の広告会社2社に制作業務の一部を架空発注し、博報堂DYメディア社からこの2社に制作費として計3200万円を振り込ませて詐取した疑い。警視庁は、男3人についても詐欺容疑で逮捕状を取っており、16日にも逮捕する方針。

この後の段落では、架空発注に協力した2社に金を払い、残りを別の広告会社の口座に裏金としてため、遊興費などにあてたと見られること、男が民放キー局のCM枠買い付けやCM制作の発注などを担当していたこと、昨年、社内調査で不正が発覚し、解雇されたことが紹介されています。

広告代理店のビジネス・メリットとは

広告代理店とはどんな仕事なのでしょうか。

まず広告代理店は──「代理店」とも呼びます──「PR」ではなく「広告」の代理店です。広告を出稿するクライアントがお金を出し、メディアの側にもお金が支払われて出るのが「広告」です。これに対して「PR」(Public Relations)では、メディアは広告費をもらいません。

代理店のフィーは、時代や業界などにもよりますが、20%から30%とされることが多いようです。分かりやすくいえば、クライアントが120万円払い、そのうちメディアは100万円もらい、代理店は20万円もらう、ということです。もちろん代理店とクライアント企業の付き合い方や案件にもよります。

クライアントが代理店を使うメリットは、その時打ちたい広告によっていちいちメディア・出稿先を探す必要がなくなることや、複数のメディア・出稿先をたばねた多角的なマーケティングができること、メディア・クリエイティブ制作側が出してきた広告についてクライアントの側に立って意見や助言を述べてくれることなどでしょうか。

代理店との付き合い方は難しい

雑誌やWebの編集者も広告代理店との付き合いはあります。今回の事件はテレビCMという「映像」広告でしたが、雑誌やWebメディアも広告の出稿を受けることがあるからです。

筆者も過去、広告代理店との付き合いはありました。いまは広告代理店の窓口は営業担当者にまかせていますが、小さい会社だとなかなかそうも言っていられません。クリエイティブだろうが営業のことは知っていないといけないし、考えないといけません。その逆もまた然りです。

代理店は会社によっては予算額も大きく、また組織が大きいと現場の責任者は裁量がもたされるため、ちょっとしたごまかしも可能でしょう。動かす予算が大きいと自分がエラくなったような勘違いもしますし、出来心が芽生えても不思議はありません。

筆者は「この手のお金のことは絶対にバレる」と思っているので、カッコつけるわけではなく、そのあたり身ぎれいに過ごしてきましたが、クライアント(代理店経由)からもらえる予算が大きかった場合など、「これ、ライターさんに原稿を発注したことにしてキックバックを要求しても通るんだろうなぁ」というようなシーンは何度もありました(笑)。

プレゼントやお土産すら気をつかう

広告制作のチームにいないと余計に気を使います。雑誌やWebメディアで記事などのコンテンツをつくる際、取材先を決める際など、クライアントのためではなく読者・視聴者のために企画をつくって実行します。クライアントからお金をもらってつくったらステマになってしまいますし、お金ではなくても相応のサービスを受ければそれも同じことになってしまうからです。

イベントなど行事に取材で訪問した際にお土産をもたされることがあります。また会食などでちょっとしたプレゼントをもらうこともあります。

あまりに高額なものなどは受け取れませんが、ちょっとした消え物(お菓子とか)なら断りづらいものです(特にそれが腐るもの・かさばるものだと、相手に持って帰ってもらうのも気まずい)。そうした程度のものは受け取ってしまい、食事をごちそうになることが想定される場合はお土産を用意しておいてお渡ししたりします。

そうして「借りを作らない」ようにする。でないと読者・視聴者を裏切ることになるからです。

「何をきれいごとを」と思われるかもしれませんが、メディアなんてきれいごとで成り立っています。「武士は食わねど高楊枝」といいますが、それを日々実践し続けているメディア人・広告人もたくさんいるのです。

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