「Yahoo!ニュース公式コメンテーター」はオーサーやプロピッカーと違うの? IT企業には編集の役割が必要な理由

ヤフー オピニオン

Yahoo!ニュースが公式コメンテーターという仕組みを始めたそうです。文字通りニュースに対してコメントをつけてくれるそうですが、「オーサーコメントがあるのに?」「プロピッカーのマネか?」と思ってしまったので、ちょっとサービス内容を確認してみました。

どんな人たちがコメンテーターになっているのか?

まず一覧には49人の名前が上がってました。遷移先にありますが、ページ下部にも貼っておきました。

経済やスポーツなどあらゆるジャンルの専門家がコメンテーターになっているようです。数人のコメンテーターを見ましたが、正直、NewsPicksのプロピッカーと比べて地味な印象を受けました。

ただそれが勝手な推測であまり根拠がないであろうことも知っています。

なぜなら

・ヤフーという企業・サービスは広く開かれたもので、自分が知らないジャンルも多い
・だからそのジャンルのコメンテーターのことは知らない→地味に感じる
・そもそもNewsPicksのプロピッカーにも地味な存在はいる
・そもそも地味って何だ

とも思うからです。

ニュースへのコメント 一般読者のそれとは扱いが異なる

ところでYahoo!ニュースでは、2007年からニュース記事の下部にコメント欄が設けられていて、一般の読者がコメントができます。さらには2014年から「Yahoo!ニュース 個人」の書き手(オーサー)による専用コメント枠「オーサーコメント」も作られています。

オーサーというのは、これも各ジャンルの専門家でYahoo!ニュースドメインで記事が書けるわけですね。

この「オーサーコメント」という専門家がコメントするサービス・仕組みがあるのに、わざわざなぜ公式コメンテーターという仕組みをつくったんだろう?と思いました。

オーサーとはどんなものか?

この「オーサー」という仕組み、専門家が知見を記事として披露する同様のサービスとして、LivedoorのBLOGOSを想起させます。ただBLOGOSは各専門家のブログの転載または抜粋紹介であるのに対し、オーサーは基本的にYahoo!のオーサーページに記事を寄せる仕組みになっている(と私は理解しています)。

なおオーサーコメントの欄はこんな感じです。

オーサーコメント

オーサーコメントと公式コメンテーターのコメントの共通点は、読者が「参考になった」というボタンが押せるようになっている点です。コメンテーターがもらった「参考になった」数は、「点」という形で紹介されています(下図参照)。

ただ一般読者のコメントとは、オーサー&公式コメンテーターのコメントでは扱いに差があります。それは「バッドボタン」の存在です。

上の画像は、あるYahoo!ニュース記事の下部にあった、公式コメンテーターと一般読者のコメントの一部をスクショしたものです。

上(公式コメンテーターのコメント)には「参考になった」ボタンはありますが、バッドボタンはない。しかし、下(読者のコメント)にはグッドボタンとバッドボタン(それとTwitterシェアボタン)があります。

有名人に対する誹謗中傷対策なのでしょう。

公式コメンテーターはどんなサービスになるのか?勝手に考察

公式コメンテーターは始まったばかりのサービスなので、実際どんなものになっていくか分かりませんが、サイト編集者・サービス運営者の立場に勝手に立っていろいろと考察(推察)してみたいと思います。

入れ替えは必須──「参考になった」点数が低いとクビ?

現状50人程度いますが、既に数件コメントをしている人もいれば、ゼロの人もいます。コメントもピリッとしていて「参考になった」がかなりついている人とそうでない人もいます。これから日が経つにつれ人気に差も出るでしょうし、サービスに対するロイヤリティ、熱意にも開きが生まれるでしょう。そう考えるとコメンテーターの入れ替えは不可避でしょう。

私が重要だと思うのは、単なる増員ではなく入れ替えにしたほうがいいということです。

たしかに一度なってもらったコメンテーターを止めてもらうのは、担当者レベルではキツい(クビを言い渡したくない)ものです。不人気コメンテーターはそっとしておいて追加・増員、というのが無難かもしれません。

実際「※Yahoo!ニュース 公式コメンテーターは今後ジャンルや人数などを拡大していく予定です。」と書かれています。

ただ、漫然と増やしていってオーサー制度みたいなことになるよりは、しっかりと入れ替えをしてもらいたいものです(とはいえ、「参考になった」点数だけで判断していいのかどうかは別の話です)。

オーサーが多すぎる

上でチラッと触れましたが、2014年に仕組みが始まったオーサーは、なんだか人がすごく増えているのですが、うまくいってるのか疑問を持っています(人数は数えようとしましたが、数百人はいそうなので止めました)。

この「うまくいっている」の定義が難しいですが、その基準は、自分が企画者・編集者ならこういうサービスにしたいというものにできているかどうか、です(これも十分、感覚的ですね)。

(ここからはオーサー制度に感じる問題点から、Yahoo!がメディア・コンテンツメーカーたりえないことについての意見を述べたいと思います。オーサー制度はあくまで例であって、このサービスに恨みも妬みもありません)

編集者としての目線・基準からいうと、オーサーは人数が多すぎるのではないかなと思っています(始めたころはこんなに多くなかった)。

たとえば数人のオーサーを見ただけでも、半年以上書いていない人もいます。実際にオーサーになって辞めた人がいるのかどうか分かりませんが、時々辞めさせるべきなのではないかなと思います。辞めさせているのかもしれませんが、それにしても多すぎる気がします。

もしかしたらこういう反論があるかもしれません。

「オーサーは多くていい。なぜならYahoo!ニュースは森羅万象を取り扱う場所。オーサーの誰かが対応できるような態勢にしておいたほうがいい。そもそも、オーサーが多くても読者は困らないはずだ」

たしかにこの意見には一理あります。あながち間違っているとも思いません。しかし、編集者的な観点からすると「それは逃げてないか」と思います。

選ばないのではなくて選べないのではないか

オーサーを減らさないことに対するこの反論は建前ではないでしょうか。本音として「クビにしたくてもできない」ということはないのでしょうか? また「オーサーが書きやすい・書きたくなるような企画や環境を渡せてないのではないか」と言われたら、どうなのでしょうか。

なぜこう思うかというと、そのサービスに対してロイヤリティ・熱意をもって書き続けてくれている人とと、全然書いてくれない人を同列に並べておくのは、私にとっては気持ちいい状態ではないからです。これが自分の雑誌やメディアなら、最近全然記事を書いてない古参のライターと活躍してくれてるライターとは並べたくないなと。

もちろん、メディアやサービスに対する熱意と読者の支持率やPVは別物です。「新作を全然書かないけど古い記事が読まれ続ける筆者」もいれば、「バンバン新作を書いてくれるけど、1記事あたりのPVはごく少ない筆者」もいるでしょうから、一概に比較できないのも分かります。

それでも思うのは、もしこの手にWebサービスに「編集者」が関わるなら、ただ単に集めてくるだけのようなことはしないのではないかということです。

ハコを作りました、声をかけました、書き手を集めました、あとはどうぞ

というのは、

Webサービスとしてはアリなのかもしれないが、編集者としてつくるメディアではないんじゃないかな

と思うわけです。

ただここで、「そもそもうちらメディアじゃないんで」と言われれば「そうですよね」というしかないのですが、そう分かっていてもこんな憎まれ口をたたくのは、Yahoo!という日本のインターネッツを代表する企業・サービスに対して、読者・ユーザーとしてだけでなく、編集者としても期待を持っているからです。

そもそもオーサーにしろコメンテーターにしろ、なぜ専門家として振る舞えるかというと、Yahoo!という権威が認めたからです。そこには選んだ責任があります。「何人いてもいいじゃないか」という意見がまかり通るなら、「国民全員が何かしらの専門家になってもいいのか」という反論をゆるす気がしましたが、どうでしょうか。これに対しては、「極論だ」は成立しません。

繰り返しますが、オーサーというサービスには恨みはありません。うまくいっているという評価なのかもしれません。ただ「編集者として関わるならこういう設計にしたい」という願望とのギャップがあるため、「公式コメンテーターで同じことが起こらないといいな」と勝手な期待をおしつけてみました。

最後に初期のコメンテーターのリストを載せておきます。

コメント投稿を専門とするコメンテーター一覧(50音順)

秋本可愛 株式会社Blanket代表取締役
東徹 立教大学観光学部教授/観光研究所所長
伊藤華英 競泳オリンピアン
井戸美枝 ファイナンシャルプランナー/社会保険労務士/経済エッセイスト
今井了介 作曲家/音楽プロデューサー/Gigi株式会社代表取締役
江﨑文武 音楽家
大豆生田啓友 玉川大学教育学部乳幼児発達学科教授
お股ニキ(@omatacom) ピッチングデザイナー/野球評論家
角田陽一郎 バラエティプロデューサー/文化資源学研究者
加藤忠相 株式会社あおいけあ代表取締役
門倉貴史 エコノミスト/経済評論家
川崎憲次郎 野球解説者/元プロ野球選手
倉本美津留 放送作家
高祖常子 子育てアドバイザー/キャリアコンサルタント
小菅将樹 アヴァンテ社労士事務所/アヴァンテ労働衛生コンサルタント事務所
小林真一郎 三菱UFJリサーチ&コンサルティング調査部主席研究員
崔真淑 エコノミスト/昭和女子大学研究員
佐藤信之.jp 交通評論家/亜細亜大学講師
佐藤麻衣子 株式会社ウェルスプラン/ウェルス労務管理事務所代表
霜田明寛 『ジャニーズは努力が9割』著者/文化系マガジンチェリー編集長
SYO 映画ライター/編集者
鈴木朋子 ITジャーナリスト/スマホ安全アドバイザー
関口ケント YouTubeアナリスト
高岡浩三 ケイアンドカンパニー株式会社代表取締役
高野龍昭 東洋大学准教授
高橋亜美 アフターケア相談所ゆずりは所長
田中亮 株式会社シオン テレビディレクター/動画クリエイター
田矢信二 コンビニ研究家
千葉千枝子 淑徳大学経営学部観光経営学科学部長 教授
辻伸弘 SBテクノロジー株式会社プリンシパルセキュリティリサーチャー
てぃ先生 保育士/顧問保育士/子育てアドバイザー/SNSインフルエンサー
戸田和幸 サッカー解説者/指導者ライセンス公認S級保持/元日本代表選手
中井彰人 株式会社nakaja lab代表取締役
永濱利廣 第一生命経済研究所首席エコノミスト
西尾克洋 相撲ライター/スポーツライター
西川立一 ラディック代表/流通ジャーナリスト/マーケティングプランナー
林信行 フリージャーナリスト/コンサルタント
福西崇史 サッカー解説者
藤島知子 モータージャーナリスト
藤野良太 株式会社storyboard CEO/コンテンツプロデューサー
松原仁 東京大学大学院情報理工学系研究科AIセンター教授
宮下純一 スポーツキャスター/北京オリンピック競泳メダリスト
森崎友紀 料理研究家/管理栄養士
モリジュンヤ 編集者/インクワイア代表取締役
森本稀哲 元プロ野球選手/野球解説者/講演家
山口健太 フリーランスジャーナリスト
山口真一 国際大学グローバル・コミュニケーション・センター准教授
山根千佳 相撲好きタレント
渡辺浩志 ソニーフィナンシャルホールディングス シニアエコノミスト

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